医学部のうち、医師国家試験を受けるために受験するのが医学科です。
医学科は全国におよそ80あります。
いずれも一学年100人程度と少人数で編成されていて、受験の競争率は非常に高くなっています。
医学部受験に関しては、国公立大学私立大学共に非常に難関で、現役合格率が他大学に比べるととても低くなっています。医学部の偏差値ももちろん高いです。
特に、国公立大学に関しては、受験科目数の多さとセンター試験90%以上の得点率が要求され、通常の高校生活を送る現役生の合格率が低い一因となっています。
それに対し、浪人生の合格占有率が高く、また、他学部に比べると、3年4年と何年も浪人して医学部を受験し続けている人が非常に多いのも特徴です。
他学部においては、入学までに何年も浪人を続けると、就職に不利となることもあるため、多浪するケースはあまりみられません。
しかし医学部の場合は、何年浪人しても、入学してきちんと課程を終了すれば、医師国家試験を受けることができ、医師国家試験を受ければ医師になることが出来るので、就職に不利ということがありません。
また、医学部を受験する人の大半は「医師になりたい」という高い目標と強い意欲を持っている場合が多く、他学部への進学に変更することが少ないことから、合格するまで何度も受験するケースが多いようです。
合格まで何年も浪人するケースが多い医学部
医学部の再受験
医学部は再受験者の多い学部でもあります。
30代で医学部を受験し入学する人もおり、学生の平均年齢は他学部に比べて高齢傾向にあります。
医学部ではない大学学部を卒業し社会人となった後、医師を志して再受験する人も、実は少なくありません。
医学部ではない大学学部を卒業し、社会人として社会経験を積む中で、医師という職業に強い魅力を感じる人も多いようです。
高収入で高い社会的地位を持っているという表面的な理由が多いのではと思われがちですが、実は、人のために役に立ち、命を救う仕事であることから医師を目指すという理由が多いことに驚きます。
また、医師を目指し医学部医学科を受験したが合格できず、他学科に進学したものの、やはり医師という職業が諦められず、再度医学部医学科を再受験する、という人も多いようです。
しかし、医学部の再受験での合格は容易なものではありません。
再受験する際には、学費の安い国公立大学を目指す人が多い傾向にありますが、国公立大学の医学部受験は非常に合格が困難です。
18歳から20代前半の受験生にとっても、国公立大学の医学部受験が難関であることを考えると、現役時代から年月が経過した再受験生にとってはかなり狭き門であることは当然といえます。
再受験に関しては準備期間を1年から2年とっても成功率は30%に満たないというデータもあります。
開業医の跡継ぎ
医師を目指し、医学部を受験する動機の1つとして、「家が開業医で医院を持っているため」という理由があります。
開業医の場合、医院は資産となります。
資産を子の代に引き継がせたいと思う親は多く、医師家庭においては、小さいうちから「将来は医師となって医院を継いで欲しい」という希望のもと、それに見合った教育環境が与えられるケースが多くみられます。
医学部を受験するとなると、それなりの教育費用もかかります。
その費用をかけられるかどうかは、その家庭の経済力によって変わってきますが、一般家庭に比べれば開業医というのは高収入であり、教育費用がかけられる環境であるといえます。
また、医師になるという選択肢が、一般の人に比べて身近であることも理由の一つと考えられます。
学校の成績が学年でも飛び抜けて優れているなどがあれば、「将来、医学部を受験して医師になってはどうか」等、周りからの提案があったりしますが、成績がそれほど優秀ではない場合、医師という選択肢が現実的となるのはなかなか考えにくいと思われます。
医師を目指すにあたって、一番重要なのはもちろん本人の意思と意欲なのですが、環境的な要因も大きく影響すると考えられます。
受験にかかる費用の差
国公立大学に比べて、私立大学医学部はかなり高額な学費が必要となります。
医学部受験において、国公立大学に圧倒的に人気が集まるのは、かかる学費の差が大きいためと思われます。
しかし、かかる費用に違いがあるのは、入学後の学費だけではありません。
受験にかかる費用にもかなり違いがみられます。
まず、国公立大学だけでなく私立大学においても多く採用されているセンター試験ですが、三教科以上の受験料は1万8千円です。
それに加えて、国公立大学の2次試験にかかる受験料は1万7千円となっています。
かかる費用は、およそ3万5千円となります。
願書代は無料です。
これに比べて、私立大学医学部を受験するためにかかる受験料は平均5万円から7万円となっています。
他学部に比べて医学部は受験料が高額な上、併願で複数校受ける受験生も多く、一説には一回の受験で50万円以上かかるとも言われています。
また、複数校受けるにあたり、地方校を受験する機会も多くなります。
地方校の試験実地に関しては、首都圏や主要都市で行われるようになってきてはいますが、現地での受験というケースもまだ多く、そうなると交通費や宿泊費といった費用負担も必要となります。
願書代も有料です。
このように、入学前から私立大学医学部受験には高額な費用がかかり、国公立大学受験者が増えるのも頷ける結果かと思われます。
地方枠という受験制度
日本国内の医師不足は深刻で、特に地方僻地における医師不足解消の打開策として、2009年頃より国策として大幅な医学部の定員数増加が実施されています。
2012年度には、医学部の定員数としては過去最多の8991人となる予定です。
増員分のほとんどは「地域枠」という、地域医療への従事を条件とした上で、各都道府県からの奨学金などを受け取ることを設定した特別枠となっています。
これは、地方僻地の医師不足を解消することを目的とした措置であり、国公立大学でも私立大学でも実施されています。
ただし、医学部によって、大学医学部が所在する府県の出身者に受験資格を限るものと、所在地以外の出身者にも受験資格を与えるものがあります。
受験に関しては、将来的にその地方での医師業務をするという了解が必要となりますが、現状としては、卒業時に奨学金を全額返金し、定められた地方での勤務に結びつかないケースも多く見られ、問題視する声も聞かれます。
医学部受験は定員増加を踏まえても狭き門であり難関であることに変わりはありません。
ですが、2011年に起こった大災害を経て、地方の無医村地域への勤務を希望する学生や、これから復興するにあたり数年後に必要とされるであろう被災地での医師業務に意欲を持っている学生も増えているようです。
本当に医師不足で困窮している地域に医師を送り出せる地方枠という受験制度が、今後しっかりと根づいていくことが望まれています。
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